台湾に来て最初に不安になるのが「病気になったらどうしよう」ではないでしょうか。
この記事では、台湾在住の日台家族の目線で、台湾での病院のかかり方を最初から最後まで整理しました。ブックマークしておけば、いざというとき慌てずにすみます。
まず知っておきたい:台湾の医療は「診所」と「病院」の二本立て
台湾の医療機関は大きく分けて2種類あります。
診所(クリニック) 街のいたるところにある個人クリニックです。内科、小児科、耳鼻科、皮膚科など専門別に分かれていて、風邪や軽い不調はまずここへ。日本の「かかりつけ医」に近い存在ですが、台湾では紹介状なしで自由に選べます。夜間(21時頃まで)や土曜も開いているところが多く、共働き家庭には本当にありがたい存在です。
病院(総合病院) 「医学中心」と呼ばれる大学病院クラスの大病院から、地域の中規模病院まで。精密検査、専門治療、入院、救急はこちら。台湾は紹介状がなくても大病院に直接かかれますが、その分自己負担額が高めに設定されています。
使い分けの基本:まず診所、必要なら病院。
診所の医師が必要と判断すれば、大病院への紹介(轉診)を書いてくれます。わが家も普段のちょっとした不調は近所の診所、いざというときは大病院、と使い分けています(実際にそれで助けられた息子のエピソードを、後半の「子連れ受診」のところでお話しします)。
受診の流れ:「掛號」さえ覚えれば怖くない
台湾の受診でいちばん大事な単語が「掛號(グァハオ)」=受付・予約です。
流れはこうです。
- 掛號する:診所は直接行って受付でOK。大病院はアプリやウェブで事前に「網路掛號(ネット予約)」するのが一般的です。診療科と医師を選ぶと番号が発行されます。
- 番号を待つ:院内の表示板や病院アプリで、いま何番まで進んでいるかリアルタイムで確認できます。自分の番号が近づいてから病院に向かう、という使い方ができるのが台湾式。
- 診察:診察室に入るとき、健保カード(後述)またはパスポートを提示します。
- 會計(会計)と薬の受け取り:診察後、会計を済ませ、院内薬局で処方薬を受け取ります。診所の場合はその場で薬まで出してくれることがほとんどで、「診察→薬→会計」が15〜30分で完結することも珍しくありません。
日本と少し違うのが、病院での受付や会計で健保カードを機械に「挿し込む」場面が多いこと。下の写真のような自動受付機・会計窓口で健保カードを差し込んで手続きします。



台湾の薬、日本より効きが強い気がする……。粒は大きいし数も多いし、副作用もけっこう来るんだよね。
とは、わが家の日本人夫の弁。台湾育ちの私はすっかり飲み慣れていて、正直違いがよく分からないのですが(笑)
費用の目安と「健保」の話
台湾には日本の国民健康保険にあたる「全民健康保険(健保)」があります。駐在員とその帯同家族も、居留証を取得して一定期間が経つと加入でき、健保カード(健保卡)が発行されます。
- 健保がある場合:診所の受診は掛號費+自己負担で数百元程度。日本の感覚よりずっと気軽に受診できます。
- 健保がまだない場合(赴任直後など):自費診療になり数倍かかりますが、それでも日本の自費診療よりは抑えめなことが多いです。領収書は必ず保管を。日本の海外旅行保険や会社の医療保険で請求できる場合があります。
実はわが家の夫も、台湾に来たばかりの頃は水が合わなかったのか、食あたりで何度か急診(救急外来)のお世話になりました。一度はかなり症状が重く、救急車を呼んだことも。当時の夫はまだ健保に入っておらず、「海外で保険なしの救急って、いったいいくら請求されるの……」と、私は不安な気持ちで財布を握りしめて会計に向かいました。ところが、救急車を呼んだその日でさえ、会計は2,000元弱。ほかの急診も健保なしで1,000元かからずに済んでしまい、「台湾の健保制度と医療、本当にすごい」としみじみ感じた出来事でした(※数年前のわが家のケースです。症状や検査内容によって金額は大きく変わります)。
金額や加入条件は変わることがあるので、最新情報は勤務先の総務や健保署の公式情報でご確認ください。
日本語で受診したいとき:台北の日本語対応医療機関
「症状を中国語で説明できる気がしない……」という方、大丈夫です。台北には日本語対応の窓口を持つ医療機関があります。
- 臺安医院:日本人向け窓口があることで駐在員家庭に長年知られています
- 馬偕紀念医院、台大医院などの大病院:国際医療センターで外国人対応の窓口があります
- 旭恩歯科診所(歯医者):院長先生が日本語を話せるので、診察を日本語で受けられます。
※各院の日本語対応の体制は変わることがあるため、受診前に最新状況を電話やウェブで確認するのがおすすめです。
また、診所レベルでも医師は英語が通じることが多く(医学教育が英語ベースのため)、症状を書いたメモやスマホの翻訳アプリを見せれば、たいていのことは伝わります。
子連れ受診のリアル
小児科(小兒科)の診所は台北のどの地域にもあり、夜間や週末に開いているところも多いです。子育て家庭として実感するのは:
- 病院アプリで進行番号を見ながら家で待機できるので、具合の悪い子どもを長時間待合室で待たせなくていい
- 薬は子ども用に甘いシロップや粉薬で出してくれる
子どもの健保カードは写真なしで発行されることが多く、病院によっては受診時に本人確認の書類を求められることがあります。わが家の場合は「戶口名簿」(日本の戸籍謄本にあたる書類)で確認されました。原本でなくてもスマホで撮った写真の提示でOKだったので、あらかじめ撮影してスマホに入れておくと安心です。
わが家の1歳の息子は托嬰中心(保育施設)に通っていて、定期的に風邪をもらってきては「ウイルスのデータベース」をせっせと更新しています(笑)。軽い風邪なら、家の近くの小児科の診所で十分。ただ先日、突然の高熱でぐったりして様子がおかしかったときは、迷わず馬偕紀念医院へ連れて行きました。診断は肺炎。その場で入院が決まり、3日間点滴治療を受けました。費用は入院込みでトータル1万元ほど。「日本の感覚からすると、これでもかなり抑えめだな」と思いましたが、子ども用の医療保険に入っていたおかげで、最終的な自己負担は実質ゼロでした。「子どもの保険、入っておいて本当によかった」と心の底から思った出来事です。
台湾に帯同でいらっしゃるご家庭は、お子さんの医療保険の備えもぜひ一度見直してみてください。
緊急時のために覚えておくこと
- 救急車は「119」(日本と同じ番号です)
- 夜間・休日の急病は、大病院の「急診(救急外来)」へ。24時間対応です
- 家の近くの大病院がどこか、元気なうちに一度場所を確認しておくと安心です
まとめ:この3つだけ覚えて帰ってください
- 軽い不調はまず街の診所へ。夜も土曜もやっている
- 受付・予約は「掛號」。大病院はアプリでネット予約が基本
- 台北には日本語対応の病院がある。いざというときの選択肢を1つ決めておくと安心
台湾の医療アクセスの良さは、暮らしてみて感動することの一つです。この記事が、皆さんの「もしも」の不安を少しでも軽くできたらうれしいです。

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